連歌「線路のヒール」


線路の間 落としたヒールに ふくれ面

こんなとき笑える人かと言われたら違うけれども笑いたい

いつか見た オリンピックの選手のように

我先に急ぎたいのよニッポン人 人のせいして怒る顔どんな


ただ一日(ひとひ)言葉がないのが寂しくて 師走のタイツは化学の匂い

初めてのシューズ買ったの美しく舞姫になる夢をみて

十年の月日はなにを変えたのか引かれて戻る恋の海

未来など窓の向こうに置いてきた見つめる女(ひと)の濡れ睫毛

(連歌「線路のヒール」、自作)